新医療費体系は、基本的には昭和26年1月の臨時診療報酬調査会の答申に則り、昭和27年(3月と10月)に行った医業経済の実態調査に基いて作成されたものである。 昭和27年の医業経済に関する調査の結果から得られた個々の医療行為の費用を用いて、各医療行為群毎にその費用がどのように分布するかを算出し、現行医療報酬の分布と比較することとし、この場合比較を便ならしむるため費用の金額を先ず点数に換算し、総点数を現行総診療点数に揃えて整理すれば下の表の通り(表1〜3)となる。
表1の病院に於ける実態、表2の診療所に於ける実態及び表3の歯科診療所の実態である。例えば、表1の病院において各医療行為群の中から診察を取り出して見ると、総回数(診察が1カ月間に何回行われたか)は37万2千回で、現行点数(A)(診察に支払われた1カ月間の診療報酬)は37万8千点、費用から換算した点数(B)(新医療費体系から割り出した1カ月間の診察技術料=即ちこの「費用」の中には診察に要した時間で計った労力や看護婦等の人件費や物件費その他が入っている)は251万5千点、この(A)と(B)の差はマイナス213万7千点となる。この事は診察の技術料が従来それだけ評価されていなかったことを示している。これと逆の例として、注射を見ると総回数は29万4千点、現行点数(A)は316万5千点、費用から換算した点数(B)は222万4千点、(A)と(B)の差はプラス94万1千点となっている。即ち医師は従来注射の技術料や薬品などの「物」で儲けていたということを示している。 以上の如く、現行診療報酬体系では、病院、診療所共に診察など最も医師が多くの時間をかけている行為が適正に評価されず、全く別な形一薬治料、注射料等の一部として受け取られていた。従って病院、診療所の主たる収入源は薬治料、注射料であり、病院ではこの外に入院料(特に看護サービス)があり、診療所ではこの他に手術料がある。面白いのは、手術料は診療所ではプラスであるが、病院ではマイナスとなっている。これは、小さな手術はプラスになるが、大きな手術はマイナスであるということを示している。 歯科診療所では補綴が主な収入源となっている。 昭和27年の医業経済に関する調査の結果計算された各種医療行為のうち、初診料、再診料、薬治料、注射料について、それぞれ実際に要した費用を点数に換算し、これを新体系における点数とし、更に処置を受ける患者についても、現行報酬において4点以下の処置料を支払っている分については、その分を初診料又は再診料に含めて支払う方式とすることとなった。即ち患者が医師、歯科医師を訪れた場合は診察料として、初診の場合は初診料を、2度目からは再診料を支払うことになった。 薬治料及び注射料については調剤又は注射の技術料(諸経費を含む)と薬品費を別個に評価して額を決定し、歯科の補綴料も同様の考え方に改められた。 表4の歯科診療所における医業経済に関する調査の結果の新点数(C)によれば、初診料は6.203点、再診料は4.595点となる。なお、4点以下の処置料は初診料、再診料に含められる。同様に薬治料は1.251点、注射料は5.750点。 歯科補綴のための技術料もこれに使用する金属とを別個に評価する報酬とする。歯科診療所の調査結果によれば、技術料は1回65.751点となり、金属及び委託技工費は1回平均12.443点となる。併せて補綴及び補綴修理の点数は78.194。
新医療費体系の骨子は(1)新体系への移行は現行報酬体系の分析によって得られる結論から出発するものとする。(2)新体系への移行によっては国民総医療費の増減を来さないようにする。(3)各種医療機関の所得に現状と著しい変動を一時に来さないよう配慮する。(4)現行体系を修正するにあたっては医薬分業の実施を目前に控えて、差し当たってそれ に必要な事項を中心とする。
日本歯科医師会
富山県歯科医師会
富山市歯科医師会
新医療費体系は、基本的には昭和26年1月の臨時診療報酬調査会の答申に則り、昭和27年(3月と10月)に行った医業経済の実態調査に基いて作成されたものである。
昭和27年の医業経済に関する調査の結果から得られた個々の医療行為の費用を用いて、各医療行為群毎にその費用がどのように分布するかを算出し、現行医療報酬の分布と比較することとし、この場合比較を便ならしむるため費用の金額を先ず点数に換算し、総点数を現行総診療点数に揃えて整理すれば下の表の通り(表1〜3)となる。
表1の病院に於ける実態、表2の診療所に於ける実態及び表3の歯科診療所の実態である。例えば、表1の病院において各医療行為群の中から診察を取り出して見ると、総回数(診察が1カ月間に何回行われたか)は37万2千回で、現行点数(A)(診察に支払われた1カ月間の診療報酬)は37万8千点、費用から換算した点数(B)(新医療費体系から割り出した1カ月間の診察技術料=即ちこの「費用」の中には診察に要した時間で計った労力や看護婦等の人件費や物件費その他が入っている)は251万5千点、この(A)と(B)の差はマイナス213万7千点となる。この事は診察の技術料が従来それだけ評価されていなかったことを示している。これと逆の例として、注射を見ると総回数は29万4千点、現行点数(A)は316万5千点、費用から換算した点数(B)は222万4千点、(A)と(B)の差はプラス94万1千点となっている。即ち医師は従来注射の技術料や薬品などの「物」で儲けていたということを示している。
以上の如く、現行診療報酬体系では、病院、診療所共に診察など最も医師が多くの時間をかけている行為が適正に評価されず、全く別な形一薬治料、注射料等の一部として受け取られていた。従って病院、診療所の主たる収入源は薬治料、注射料であり、病院ではこの外に入院料(特に看護サービス)があり、診療所ではこの他に手術料がある。面白いのは、手術料は診療所ではプラスであるが、病院ではマイナスとなっている。これは、小さな手術はプラスになるが、大きな手術はマイナスであるということを示している。
歯科診療所では補綴が主な収入源となっている。
昭和27年の医業経済に関する調査の結果計算された各種医療行為のうち、初診料、再診料、薬治料、注射料について、それぞれ実際に要した費用を点数に換算し、これを新体系における点数とし、更に処置を受ける患者についても、現行報酬において4点以下の処置料を支払っている分については、その分を初診料又は再診料に含めて支払う方式とすることとなった。即ち患者が医師、歯科医師を訪れた場合は診察料として、初診の場合は初診料を、2度目からは再診料を支払うことになった。
薬治料及び注射料については調剤又は注射の技術料(諸経費を含む)と薬品費を別個に評価して額を決定し、歯科の補綴料も同様の考え方に改められた。
表4の歯科診療所における医業経済に関する調査の結果の新点数(C)によれば、初診料は6.203点、再診料は4.595点となる。なお、4点以下の処置料は初診料、再診料に含められる。同様に薬治料は1.251点、注射料は5.750点。
歯科補綴のための技術料もこれに使用する金属とを別個に評価する報酬とする。歯科診療所の調査結果によれば、技術料は1回65.751点となり、金属及び委託技工費は1回平均12.443点となる。併せて補綴及び補綴修理の点数は78.194。
新医療費体系の骨子は
(1)新体系への移行は現行報酬体系の分析によって得られる結論から出発するものとする。
(2)新体系への移行によっては国民総医療費の増減を来さないようにする。
(3)各種医療機関の所得に現状と著しい変動を一時に来さないよう配慮する。
(4)現行体系を修正するにあたっては医薬分業の実施を目前に控えて、差し当たってそれ に必要な事項を中心とする。