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2017年3月17日
平成29年3月院長のマンスリートーク◆ここ15年間の歯科医療費の推移―遠藤中医協委員の講演から―
平成29年3月院長のマンスリートーク◆ここ15年間の歯科医療費の推移―遠藤中医協委員の講演から―
2月26日(日)、富山県歯科医師会において、日本歯科医師会常務理事で中医協委員の遠藤秀樹先生(大学の同級生)の「平成30年度診療報酬改定への展望」という講演を聞いた。
遠藤氏はまず最初に、平成12年から27年までの医療費の推移(表1)を示し、歯科医療費の伸びが一番低くなっていることを述べた。国民医療費が11兆(入院5兆、入院外1.7兆、薬局調剤5.1兆)円以上伸びたのに、歯科は2,760億円しか増加していない。これがまさに「歯科冬の時代」を象徴する数値である。
歯科医療費は平成8年から平成21年まで長い間ほぼ2兆5千億円台で推移していたが、平成22年からここ5年連続で増加し2兆8千億円を超えた。年齢階級別では60歳以上、診療内容では、医学管理(歯科疾患管理料)、検査(歯周組織検査)、処置(スケーリング)が増加したことによる。20年以降は改定率、改定内容(改定作業に携わる人の資質も関連)がともに安定してきたことも歯科医療費増に関連している。
遠藤氏が示した表2に歯科の医療費が伸びなかった理由を示す数値がある。歯科の総件数はこの15年間で、調剤と同程度の35.2%伸びており、総実日数も医科がマイナスである中、わずかであるがプラスであった。しかし、1件当たり医療費がマイナス18%とダントツにひどい数値である。
日本歯科医師会は、歯科医療費が伸びない理由として、①政治力の差、②新技術・新素材の保険収載の差(医科は戦略的に保険収載を進めてきた)、③高齢者医療費の伸びをあげ、戦略の欠如を表明しているが、改定率は最近では歯科の方が高く、新技術・新素材が保険導入されても大きく医療費は増えていないなど、理由の説明になっていない。
歯科医療費が大きく増えなかったのは、歯科には自然増がほとんどなく、平成14年(▲1.3%)、18年(▲1.5%)のマイナス改定がそのまま医療費に反映されたことや、金属価格の変動に振り回された(16年改定はプラスマイナスゼロであったが金属価格の値下げで▲1.0%)こと、初診料(270点から180点)、文書提供、算定要件、診療行為名など猫の目のように変わる改定内容であったことなどが原因にある。改定内容に対する現場の拒否反応が18年にピークに達し受診延日数、1日当たり医療費がともに1%以上減少した。平成14〜19年までは歯科医療がはじめて経験した小泉政権下の「暗黒の6年」で、この間、歯科医療費は1,000億円も減少した。
昭和56年以降、医科では「初診料や再診料・指導管理料など開業医の基本的な技術である診察部門を評価する診療報酬の引き上げや新設がなされ、外来の診察部門の診療報酬の重点的な評価」が行われてきたが、歯科は「初診・再診は統計資料(患者調査)によれば減少傾向にあり、初診・再診料を上げるよりも、歯科独自の処置や検査、補綴の基本的行為の適正評価に重点配分することを優先すべき」としてきた。しかし、実際は受診件数が35%も増え、歯科独自の処置や補綴の件数が減少したのが現実である。
表3は、遠藤氏の講演のスライドと社会医療診療行為別統計をもとに作った医科入院外(外来)と歯科の診療行為別1件当たり点数の推移である。医科入院外の総点数が+22.9点であるのに対し、歯科は−280.3点である。
医科入院外は1件当たり日数が減少(2.13日→1.62日)しているので、初診・再診、医学管理等は減少しているが、在宅医療、検査、画像診断、注射、処置でその分を穴埋めしている。投薬の減少(113.2点)は薬局調剤の増加につながっており、実質のマイナスではないものである。
一方、歯科は総点数が280.3点も減っているが、ほとんどが保存修復及び欠損補綴の減少(299.2点)である。1件当たり日数は医科入院外より0.27日多いのに、初再診料の固定点数が低いため初診・再診の点数は医科入院外より50点以上少ない。
以上をまとめて、歯科医療費が伸びなかった理由を並べると
①8020運動の効果もあり、保存修復及び欠損補綴が予想以上に大幅に減少したこと―診療行為の減少を考慮する仕組みが現行制度にないため、収入が少なくなった。病気を減らすことへのインセンティブが働かない不合理さは改善されるべきである。
②初診・再診料に代表される医科歯科の診察料の格差―平成12年に初診料を医科並にするため「かかりつけ歯科医初診料」が作られたが、医科にはない算定要件(いわゆる紙出し)をつけたため、大きな事件(中医協委員に対する贈収賄)をおこし、平成18年に大きく下げられた(270→180点)。
③検査・画像診断の点数がほとんど伸びなかった。歯科の検査と言えば、歯周組織検査が大半を占め、画像診断の診断料などは長年低いままである。
今後、これらの問題点を解決していくことが歯科界に求められる。
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いつも、総山先生の教えを守るよう治療に当たっています。
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年に1回は必ず「かかりつけ歯科医」で健診することが重要と考えます。
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遠藤氏はまず最初に、平成12年から27年までの医療費の推移(表1)を示し、歯科医療費の伸びが一番低くなっていることを述べた。国民医療費が11兆(入院5兆、入院外1.7兆、薬局調剤5.1兆)円以上伸びたのに、歯科は2,760億円しか増加していない。これがまさに「歯科冬の時代」を象徴する数値である。
歯科医療費は平成8年から平成21年まで長い間ほぼ2兆5千億円台で推移していたが、平成22年からここ5年連続で増加し2兆8千億円を超えた。年齢階級別では60歳以上、診療内容では、医学管理(歯科疾患管理料)、検査(歯周組織検査)、処置(スケーリング)が増加したことによる。20年以降は改定率、改定内容(改定作業に携わる人の資質も関連)がともに安定してきたことも歯科医療費増に関連している。
遠藤氏が示した表2に歯科の医療費が伸びなかった理由を示す数値がある。歯科の総件数はこの15年間で、調剤と同程度の35.2%伸びており、総実日数も医科がマイナスである中、わずかであるがプラスであった。しかし、1件当たり医療費がマイナス18%とダントツにひどい数値である。
日本歯科医師会は、歯科医療費が伸びない理由として、①政治力の差、②新技術・新素材の保険収載の差(医科は戦略的に保険収載を進めてきた)、③高齢者医療費の伸びをあげ、戦略の欠如を表明しているが、改定率は最近では歯科の方が高く、新技術・新素材が保険導入されても大きく医療費は増えていないなど、理由の説明になっていない。
歯科医療費が大きく増えなかったのは、歯科には自然増がほとんどなく、平成14年(▲1.3%)、18年(▲1.5%)のマイナス改定がそのまま医療費に反映されたことや、金属価格の変動に振り回された(16年改定はプラスマイナスゼロであったが金属価格の値下げで▲1.0%)こと、初診料(270点から180点)、文書提供、算定要件、診療行為名など猫の目のように変わる改定内容であったことなどが原因にある。改定内容に対する現場の拒否反応が18年にピークに達し受診延日数、1日当たり医療費がともに1%以上減少した。平成14〜19年までは歯科医療がはじめて経験した小泉政権下の「暗黒の6年」で、この間、歯科医療費は1,000億円も減少した。
昭和56年以降、医科では「初診料や再診料・指導管理料など開業医の基本的な技術である診察部門を評価する診療報酬の引き上げや新設がなされ、外来の診察部門の診療報酬の重点的な評価」が行われてきたが、歯科は「初診・再診は統計資料(患者調査)によれば減少傾向にあり、初診・再診料を上げるよりも、歯科独自の処置や検査、補綴の基本的行為の適正評価に重点配分することを優先すべき」としてきた。しかし、実際は受診件数が35%も増え、歯科独自の処置や補綴の件数が減少したのが現実である。
表3は、遠藤氏の講演のスライドと社会医療診療行為別統計をもとに作った医科入院外(外来)と歯科の診療行為別1件当たり点数の推移である。医科入院外の総点数が+22.9点であるのに対し、歯科は−280.3点である。
医科入院外は1件当たり日数が減少(2.13日→1.62日)しているので、初診・再診、医学管理等は減少しているが、在宅医療、検査、画像診断、注射、処置でその分を穴埋めしている。投薬の減少(113.2点)は薬局調剤の増加につながっており、実質のマイナスではないものである。
一方、歯科は総点数が280.3点も減っているが、ほとんどが保存修復及び欠損補綴の減少(299.2点)である。1件当たり日数は医科入院外より0.27日多いのに、初再診料の固定点数が低いため初診・再診の点数は医科入院外より50点以上少ない。
以上をまとめて、歯科医療費が伸びなかった理由を並べると
①8020運動の効果もあり、保存修復及び欠損補綴が予想以上に大幅に減少したこと―診療行為の減少を考慮する仕組みが現行制度にないため、収入が少なくなった。病気を減らすことへのインセンティブが働かない不合理さは改善されるべきである。
②初診・再診料に代表される医科歯科の診察料の格差―平成12年に初診料を医科並にするため「かかりつけ歯科医初診料」が作られたが、医科にはない算定要件(いわゆる紙出し)をつけたため、大きな事件(中医協委員に対する贈収賄)をおこし、平成18年に大きく下げられた(270→180点)。
③検査・画像診断の点数がほとんど伸びなかった。歯科の検査と言えば、歯周組織検査が大半を占め、画像診断の診断料などは長年低いままである。
今後、これらの問題点を解決していくことが歯科界に求められる。