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2020年11月24日
令和2年11月院長のマンスリートーク◆新型コロナ対応民間臨調報告書から
令和2年11月院長のマンスリートーク◆新型コロナ対応民間臨調報告書から

 日本の新型コロナウイルスによる死者が11月22日、2千人を超えた。年代別では70歳以上の高齢者が約85%を占めている。一方、感染者は5日連続で2千人を超え、政府は感染急増段階の都道府県で「Go To トラベル」の運用を見直すこととなった。なお、国内での感染確認者は13万3千人であるのに対し、世界では感染者が約5,800万人、死者は138万人と深刻な事態である。
 今月は、10月25日に出された460ぺージを超える新型コロナ対応民間臨時調査会調査・検証報告書から新型コロナウイルスの第1波を振り返る。
 独立系シンクタンク、アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)は問題意識を持ち、日本政府の取り組みを検証することを目的として、2020年7月30日、「新型コロナ対応・民間臨時調査会」(コロナ民間臨調)を発足させ膨大な量の報告書をまとめた。

○パンデミック危機への備えについて
 万一危機が到来する事態に備え、あらかじめどのような態勢を構築しておくのか。その危機への備えの態勢のことを一般に「プリペアドネス(Preparedness)」という。日本の感染症危機管理におけるプリペアドネスは、いくつかの感染症危機対応を実際に経験しながら発展してきた。
 21世紀に入り、感染症危機が世界中で増加している。我が国では、世界で何らかの感染症危機が発生する度に、厚労省が中心となり、各感染症に対する危機管理体制を整備し、拡充してきた。
これら今世紀の感染症危機のうち、日本の感染症危機管理能力の向上に特に重要な意味を持っていたのは、H1N1新型インフルエンザパンデミック(2009年)及び西アフリカのエボラ出血熱(2014年)であった。(表)

○ダイヤモンド・プリンセス号について
 ダイヤモンド・プリンセス(DP)号のPCR検査の結果の一部は、2月4日夜に判明したが、その内容は、政府関係者に大きな動揺を与えるものであった。検査結果が判明したわずか31人のうち、10人について陽性結果が確認され、全乗客乗員の規模を考えると、相当数の陽性者が生じている可能性が認識されたからである。この点、ある厚労省幹部は、数人程度の患者の発生は想定していたが、「かなりの数」の結果であり、厚労省単独で対処することは難しいと感じた旨を述べる。乗客乗員3,711人の14日間の船内隔離の異例処置に出た。官邸が司令塔機能を引き取り感染状況に対処した。厚労省は正林督章審議官を乗船させたほか、自衛隊、神奈川DMATを投入し新規感染者を抑えた。

○水際対策の遅れについて
 国境をまたいだ移動が自由に行われる欧州各国においては、遅くとも3月頭の時点で感染が相当に拡大していたといえる。しかし、日本政府は、3月後半になるまで、中国や韓国に対して行ったような強力な水際対策を、欧州との関係では導入しなかった。3月17日の新型コロナウイルス感染症対策専門家会議(専門家会議)からの要請を受けて、政府がイタリアを含むヨーロッパ諸国(シェンゲン協定加盟国)等からの入国者について14日間の待機要請を開始したのは、3月21日になってからだった。ある専門家会議関係者は、3月前半の感染者数データを踏まえると、この時期、欧州等からの流入症例が非常に速いペースで増えており、流入を規制しなければ国内での感染が爆発的に広まるおそれがあったと述べている。この時点で、イタリアでの感染者数は47,021人に達し、4,032人もの死者が発生していたほか、スペインでも2万人を超える感染者と1,000人を超える死者が、フランスやドイツでもそれぞれ1万人を超える感染者が確認されていた。

○小池都知事発言の波紋
 政府内の緊急事態宣言に関する検討は3月23日の小池知事による「ロックダウン」発言により、大きな影響を受けることとなった。内閣官房スタッフの一人は、「小池知事のロックダウン発言がなければ緊急事態宣言のタイミングは、あと一週間は早められた」などと当時を振り返り、都知事の「ロックダウン」発言の影響の大きさを認め、西村コロナ担当相も「そこ(小池知事の発言)が一つの大きなターニングポイントになった」と述懐した。また、安倍首相は、「一斉休校もなかなか難しい判断だった。社会の機能を止めるということですから。あのときは二つの理由があった。学校でパニックが起きる、それを防ぐ。それからもう一つ大きな声では言えなかったが、感染した子どもたちを通じて、おじいちやん、おばあちゃんが感染するリスクもあった」などと述べ、極めて困難な官邸主導の行動変容政策を決断した当時のことを振り返っている。一斉休校は教育現場に混乱をもたらしたが、国民からは一定の評価を受けた。

○クラスター対策について
 日本は、新型コロナウイルスについて、重症・軽症に関わらず感染者の約8割は他の人に感染させず、感染者の多くが他の人に感染させるインフルエンザウイルスとは明確に違う特性を有していることを、早い段階で認識していた。この感染症は、主にクラスターを形成することで感染拡大が起きており、初期段階においてクラスターを制御できれば、感染拡大を相当程度制御できるという見通しのもと、全国の保健所を中心にクラスター対策を講じた。また、初期の積極的疫学調査の分析、なかでも「さかのぼり接触者調査」を実施することで、クラスターが発生しやすい場を分析し、共通の感染源を特定し、諸外国では認識されなかった「3密」を避けるという効果的な対策の発見につながった。政府は初期の段階から、クラスターが発生しやすい「3密」を避けるよう市民に対して注意喚起を行うことができていた。(図)

○日本モデルについて
 「日本モデル」は「法的な強制力を伴う行動制限措置を採らず、クラスター対策による個別症例追跡と罰則を伴わない自粛要請と休業要請を中心とした行動変容策の組み合わせにより、感染拡大の抑止と経済ダメージ限定の両立を目指した日本政府のアプローチ」と定義される。この日本モデル下において、日本では、新型コロナウイルス感染症による人口当たりの死亡率を、主要先進国の中でも、低く抑え込むことができた。日本の高齢化率は世界でも群を抜いて高い。この感染症の死亡率が高齢者で特に高いことを考えると、東アジア・太平洋地域の中で死亡率が高い方だったとしても、この結果は、決して失敗ではなかったと思われる。

○疫学的評価について
 2020年1月から6月までの半年間の新型コロナウイルス感染症対策において、日本は、強制的なロックダウンを実施せずに新型コロナウイルス感染症の人口死亡率を7月17日時点で100万人当たり8人に抑え込んだ。これは、世界173カ国の中央値よりも低く、また、欧米諸国の数十分の1の水準であった。G7の中では最も低く、G20の中でも中国、韓国、オーストラリアに次いで低い方から4番目であった。一方、東アジア・太平伴地域の25カ国中インドネシア、フィリピンに次いで3番目に高かった。
 結局、「泥縄だったけど、結果オーライだった」。
 結果オーライを引き寄せるのも政治の実力であり、それだけで非難されるべきものではない。危機の本来的性質上、予想外の事態に事前の計画や備えが無効化されることは珍しくない。しかし、場当たり的な判断には再現性が保証されず、常に危うさが伴う。
 実際に、日本の第一波対応の舞台裏からは、多くの危うさや課題が浮かびあがった。
 日本が人口比の感染者数と死者数が欧米に比べて際立って少ないことに関してはBCG接種率、ゲノム、免疫応答の人種差などさまざまな免疫上さらには人種的な要因−いわゆるファクターX−の存在も指摘されているが、今回はこうした要素は主たる対象として取り上げられていない。

○PCR検査について
 ある内閣官房幹部は、「検査体制の基本的な考え・戦略」が取りまとめられるまでのPCR等検査に関する政府の対応が戦略的ではなかったことを認め、その背景について、「とにかく日本はPCR検査に関して、最初は能力が非常に限られましたので、その限られている能力をどう振り向けるかというと、重症化しそうな人にやるしかないんです。そういう意味で、それも一種の戦略なんですけど、熱が長く続いてそのままにしておくと重症化しそうな方に治療方針を決めるために検査をするという、その範囲でまずスタートしたということですよね。戦略を立てる余裕もなかったというのが事実だと思います」と述べた。しかしながら、政府は、PCR等検査体制の逼迫が解消した5月以降もPCR等検査に関する戦略を立てられなかったので、PCR等検査に関する戦略がなかった要因をPCR等検査体制のプリベアドネスが不足していたことのみに求めるベきではないであろう。ピラミッド理論によれば、PCR等検査数が限定されていることは、多くの軽症の陽性者をみのがすことを意味する。陽性率が5%を切るように、可能であれば1%未満に押さえるように、軽症者やその濃厚接触者等をも対象に含めてPCR等検査を広く実施することが、新型コロナウイルス感染症に対する有力な戦略となる。和歌山県はPCR検査を関係者に徹底的に施行することの有益性を示した国内最初の事例であると評価できる。

○医療提供体制について
 日本は、東京都など特に感染者が多かった地域で医療崩壊寸前の厳しいところまで行ったが、何とか乗り越えることができた。そして死亡者数、致死率も欧米と比較すると低いなど、良い結果を出している。この理由として、2009年の新型インフルエンザパンデミックの経験から疑似症患者が直接医療機関に押しかけないようにしたことや、DP号の経験から生み出された「神奈川モデル」にならった患者・医療資源の適正配置、神奈川県におけるICTを用いた情報共有の仕組みが先行モデルとして有用であったことが挙げられる。
 また、日本の優れた集中治療が最後の防波堤となり死亡者を減らした。高齢者施設の常態的な感染症対策も死亡者数減少に寄与している。
 一方で、課題も改めて浮き彫りになった。日本では新興感染症の全国的な拡大は近年経験していない。そのことが医療体制における感染症対策が十分に進められてこなかった原因となっている。また、パンデミック時における院内の医師間や病院間の支援体制や地区医師会の役割も不明瞭であったことも課題である。医療現場は個人防護具や消毒液が不足していたため相当の混乱と負担があった。資材の調達競争が世界的に起きた時に備えて国内での備蓄や、いざという時の迅速な開発・製造体制の整備は、医療崩壊を防ぐことに貢献する。人材、資材、資金のすべてが充足しないと医療、介護は容易に崩壊する。

○総括と提言
 日本政府の第一波対応は、感染拡大防止の観点からも経済ダメージの抑制の観点からも、他国に恥じない結果を出した。しかし、その評価は難しい。これを「失敗」と評することは妥当ではないにしても、安易に「成功」と評することも適切ではない。
 そこで、今後のため以下の様な提言がなされた。すぐに実行することが求められる。
提言1:政府としても緊急事態下における専門家助言組織のあり方について総括・検証を行う
提言2:省庁横断的な司令塔機能の下、行政のデジタル基盤を抜本的に強化する
提言3:「事業の継続」から「事業の強化」へ。構造改革を事業支援の条件とする
提言4:パンデミック対策などの国家的なテールリスク事案への備えについては各省予算とは別枠で予算確保する
提言5:感染症危機発生時における政府及び地方自治体の十分な有事対応体制を確保するため、感染症危機管理に関する予備役制度を創設する
提言6:罰則と補償措置を伴う感染症危機対応法制の見直し
 今回の教訓は十年程前から既に指摘されていたのに、正面から取り組まず、改革する意思と能力を見せてこなかった。今回の新型コロナ対応は結果オーライだったが、日本人には教訓を素直に学ぶ姿勢が問われている。
 

   


当院の特徴紹介
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