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中道歯科医院
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2013年3月18日
平成25年3月の院長のマンスリートーク◆中原市五郎先生の「食養と歯」
◆中原市五郎先生の「食養と歯」
様々な経験を通じて「食」に関する知識と「食」を選択する力を習得し、健全な食生活を実践することができる人間を育てるための「食育」が2005年の食育基本法の成立を期に教育現場で盛んになっている。食育基本法は国家レベルで食事をどうにかしようとする世界的にも例のない法律であるが、そのルーツは大変古い。

「食育」という言葉は、石塚左玄が最初に用いたが、その石塚が食事で健康を養うための独自の理論を展開した「食養会」(明治40年設立)という団体が重要な役割を果たした。

日本歯科大学の創始者中原市五郎先生は、昭和12年に「食養会」の会長に推挙され、その就任の挨拶で自らの体験談を述べられた。現代にも通ずるおもしろい話であるので、少し長いが、以下にその話を紹介する。

私が食養という事に志してから既に40年になります。

何故食養と云うものに注意する様になったかと申しますと、私は25,6才の頃から胃腸が悪く、其の中に段々神経衰弱になり、其上感冒にもよくかかりまして常に弱い体でしたが、丁度明治30年になって始めて故石塚先生に診断を受ける前には帝大内科の青山先生や、済生学舎の馬島先生などにかかりまして、西洋医術の粋を集めて冶療してもらいましたが、2年、3年と時のたつにつれて段々衰弱して来ました。

私は歯科医でありますが、十分間も金箔を填める仕事をしますと、目まいがしてどうしても続ける事が出来ず、新聞もろくに読めない程であった。其頃の食事はどうかというと、最初はまず柔いものという訳で御粥を食べさせられ、それから牛乳は滋養物だから飲め、胃散過多で胸が焼けるなら肉を食わなければならぬというので毎日毎日肉を食わされたのであります。

ところが或日のタ方、本郷に居た兄がやって来て私の食事を見て、「御前は肉なんか食べているのか、大学の薬剤長が私の所に来て肉はいけないと云っている。肉は食べない方がよかろう」という話でありました。

「とにかく食物で病気を治す医者が市ケ谷の監獄所の後にあるから行って見ろ」と教えられまして其翌日車で石塚先生の所に参りますと、皆さん御承知の方もありましょうが、8畳の間を3つ位ぶち抜いた様な家でありまして、そこに6,70人の患者がつめかけていました。私の番が参りましたから先生の前に行きますと、先生は私の顔をジッと見て居られましたが、「これはどうも肉の中毒だ。えらく悪くしたな」といわれた。

私も胸にぐっと応えた。「然し此の体はどうも急には治らん、どうしても5年はかかる。私のいう通りにすれば5年かかる。君は歯医者だから医学の事は分っているだろうが、西洋医学で行くと君の命はない。何しろ体がこんなに衰えていては何をするにもいくまい。根がなくなっている。だからこれからは「コの字のつく物を食え」と診断された。御承知の方もありましようが、とても読みにくい、蚓ののたくった様な仮名で食養を書いて下さいました。それから色々食べ物の御話しがありまして、先ず「コ」の字のつくものは米だ。米に胡麻塩をたくさんかけて食え。それから小麦、蒟蒻、蓮根、大根、牛蒡を食え。其外に餅を食え。餅を食う時には大根をおろして沢山つけて食わなければならん」。其の他「コ」の字のつく物を沢山書いてくれました。今迄私の摂っていた食物と余り違っているので、初めは半信半疑でしたが、それでは一つ試してみようと思って、其頃市ケ谷八幡神社の下にあった、しるこやに入って恐る恐る「赤飯」を食べてみたのであります。それも石塚先生が打診もせず、脈もとらず、聴診器も使用しないで、私の病気を確実に当てられたので、此の度は或は治るかも知れない気がしたのであります。私は決心をしたら直ぐに実験をする性質の男でありまして、早速「コワ飯」に胡麻塩を沢山かけて食べてみたのであります。帰宅後この事を話しますと家人は驚いて「それは大変な事をした。馬島先生に注射でもしてもらはなければ…」という事でしたが、そのままにしておくと、夕方になって空腹を覚え腹痛もしませんから、これは奇態だ、今度は餅を食べてみよう、と思い餅を買わせてこれに大根おろし、潰し餡をつけて食しました。餅は危いと思っていました何ともない。

これは不思議だ。これなら大丈夫という自信がつきましたから、従来柔い物ばかり摂ってきたのに固い御飯に味噌汁を吸ってみたが何ともないので、愈々先生の処方通り1週間続けて、又先生の所に行きました。先生は「どうだ、やったか?」といわれるから「先生おっしゃる通りやりました。大変具合が好い様です」と答えると先生は「そうか、だが続けなければ駄目だ。5年の辛抱だ」と元気づけられました。其後度々先生の所に通いました。

かくて私は2年間先生の指導に従って食養をやりましたが、すっかり健康を恢復することが出来ました。又先生は「卵を食べてもよい、殻ごと食え」と云はれた。どうも可笑しいと思ったが、卵の殻は大切なもので、先生の「カリエン」と称する塩類であります。塩類にも「ナトロン塩」と「カリ塩」がありますが、先生は総称して「カリ塩」と云っていますが、其のカリ塩中には炭酸カルシューム、炭酸石灰、燐酸石灰があり、これが人体に最も必要なものであります。

西洋医学では、滋養物といえば、唯蛋白、脂肪、澱粉といい、それが人体に最も必要なものといはれますが、石塚先生のいわれるカリ塩が無ければ、人は決して生命を維持する事は出来ない。先生の学説は確に其当時に於ては大発見でありましたが、西洋医学が滔々として日本に流れ込んでいる時代であったから、先生が如何に其説を唱えられても「あれは野菜医者だ。馬や牛にはいいだろうが人間には駄目だ」と云ったのでありました。然し
今日になって先生の卓見は実証されたのであります。(略)
人間のみならず、凡ての動物は歯によって、何を食すべきか定まっている。これは造物主から命令されている。例えば肉食動物の歯は人間の犬歯と同じく錐の様な歯が交錯している。これは敵を倒して肉を切りとる為に都合よく出来ている。

人間や牛馬の如きも、やはり其の歯によって何を食す可きか極められて居ります。即ち人の歯は32枚あって、其中20枚が臼の形をした歯で、臼歯と名づけております。前方の8枚は前歯と申しまして庖丁の役目をしていますから、前歯で野菜や果物を切りとり、臼歯で殻類を咬み砕く様になっております。前歯の横に犬歯が4枚ありますが、これは肉を食してもよいという標であります。

それで10のものを食べるとすれば、穀物を5分5厘−米に限らず粟でも稗でもよい−野菜類或は果物を3分、肉を1分5厘の程度に摂らなければなりません。そうすれば必ず健康が保たれるのであります。

今迄の医学は冶療医学でありまして、予防医学の方は余り発達していない。病気をしてから冶療することばかり力を入れ、病気にかからない様にしようという面は割合に看過されていたのであります。歯科医は此際予防医学のリーダーとしてその責を果さなければならないと思うのであります。

私は甚だ食養については浅学でありますが、今後皆様と共に大に、国民の心身改造のために尽力致したいと思いますからよろしく御協力御援助下さらん事を御願いする次第であります。(日本歯科大学創立60周年誌より)

「ナトロン塩」と「カリ塩」のこと、「コの字のつく物を食え」ということや、それぞれの歯の役割について述べ、歯科医師が予防医学のリーダーとしてその責を果たすべきと結論づけられているが、卓見である。

   


当院の特徴紹介
いつも、総山先生の教えを守るよう治療に当たっています。
院長は、この事業の設立時から中心的役割をにない一定の成果を出しました。
年に1回は必ず「かかりつけ歯科医」で健診することが重要と考えます。
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