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中道歯科医院
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2018年6月14日
平成30年6月院長のマンスリートーク◆歯科医療職に対する将来不安はウソ
平成30年6月院長のマンスリートーク◆歯科医療職に対する将来不安はウソ
 6月8日の週刊ポスト(昔の歯科治療があなたの体を蝕んでいる)や9日の週刊現代(歯医者をうたがえ!インプラントを勧められてた/治療がいつまでも終わらない)など歯科治療に関する週刊誌の記事が氾濫している。5月19日の週刊ダイヤモンド「20年後も医学部・医者で食えるか?」では、閑古鳥が鳴く不人気歯学部の阿鼻叫喚と書かれた。理由は、歯科医は食えない職業になってきたというものである(図)。

 
 「歯科診療所はコンビニより多く、供給過剰に陥って飽和状態となり、今や稼げない医療職の代表格として世間一般に認識されている。」と書かれているが、果たしてそうであろうか。今後、対象となる患者人口が減少し、AIが進化し、技術進化に伴う業務の効率化で歯科医師の需要が減少するという。それも、怪しい予測である。
 「歯学部は、私立全体の3割が、国家試験の合格率5割を切る。さらに現役合格者比率も私立は極めて低い。中には3割を切る大学もあり、異常事態である。長らく医学部不合格になった高学力層の受け皿は歯学部だったが、歯学部の低迷、歯科医師職に対する将来不安から、この層が薬学部へ流れていった。」と続く。歯学部は受験生からの人気も難易度も志願者数も降下していく「閑古鳥予備軍」になっていると酷評する。
 実際、私立歯科大学・歯学部の入学志願者は2009(平成21)年と2010(同22)年に11校で定員割れをおこし、2011(同23)年に4,729人まで大幅に減少した。 2016(同28)年に9,350人にまで回復したとはいえ、競争倍率2倍を下回る大学も多く、大学を選ばなければ、歯学部の入学はさほど難しくなくなってきている。
 2014(平成26)年度の歯学部(歯学科)における留年・休学者の割合は医学教育課の調べによれば、国立大学11校14%、公立大学1校12%、私立大学17校24%、学年が上がるにつれ割合は増え私立大学17校の6年次の留年・休学者の割合は43%である。 最低修業年限での国試合格率は国立大学70.9%、公立大学73.7%、私立大学47.5%と低い。
 歯学教育においては、学年進行に合せて臨床体験実習、臨床予備実習へと進み、5年あるいは最終学年6年になると臨床実習が始まるが、歯科医師国家試験の実技試験が廃止されて以来、多くの歯科大学・歯学部が臨床実習期間を短縮したり、あるいは見学型臨床実習に切り替えた。その結果、一度も患者に触れたことがかない、印象採得もしたことがない、患者さんの補綴物さえ製作したことがないという新人医局員がいるという。
 入学時に重視すべき資質として、①コミュニケーション能力を有すること、②歯学部入学時に一定の学力を有すること、③社会人および医療人として信頼される、④安全で適切な歯科医療を行うための基本的資質を有するが上げられるが、歯学教育モデル・コア・カリキュラムの作成、臨床実習開始前の教養試験の実施、参加型臨床実習の推進、歯科医師国家試験出題基準及び臨床研修を一体的に見据えた歯科医師養成の在り方について総合的かつ組織的な見直しが望まれる。
 医療人として特に必要な「豊かな人間性と創造性」を作るべき教育の場における「温かい人間愛」は、よき教育環境の下で育まれなければならないが、現在の歯科大学・歯学部にはその環境を作る余裕がなくなってきている。
 中長期的に良質な歯科医療を提供するためには、大学の入学試験の厳格化、大学での臨床教育の充実、歯科医師国家試験を本来の資格試験へ回帰させることを早急に行わなければならない。
 歯科医療費は、平成19年に24,996億円だったが平成27年には28,294億円と3,298億円も8年間で増えた。診療報酬改定のない年も歯科医療費が増えるようになってきた。年齢階級別では0-14歳と65歳以上(特に75歳以上)での患者数の増加が著しい。 1人当たり歯科医療費の多い65歳以上の患者の増加が全体の歯科医療費を伸ばしている(表)。診療内容では、医学管理(歯科疾患管理料)、検査(歯周組織検査)、処置(スケーリング)、保存修復及び欠損補綴で増加している。

 
 厚生労働省が出しているMEDIASによれば、受診延日数は4.12億日から4.18億日と少しずつ増加、1日当たり医療費も、平成19年6.1千円から平成27年6.7千円と増えて全体の医療費が伸びた。 このことにより、1施設当たり年間医療費も3,592万円から3,980万と増加したが、医療提供体制に懸念が残る。歯科診療所数があまり増えていない(67,798→68,737)。平成20年以降は改定率、改定内容がともに安定してきたことも医療費増に関連している。
 平成28年度の医療費の動向によれば、全体の医療費の伸びが▲0.4%(入院1.1%、入院外▲0.4%、歯科1.5%、調剤▲4.8%)となる中で歯科が1.5%伸びていた。 受診延日数は4.18億日から4.16億日に下がったのに1日当たり医療費が1.9%増えていた。このことに代表されるように今、歯科には順風が吹いてきている。 しばらくはこの動きが続くものと思われる。
 歯科診療所の月間医業収入を次のように分解して考えると、医業収入=診療日数×1日当たり患者数×診療単価となる。3つの項目のうち診療日数、患者数が数量因子、診療単価が価格因子である。
 これまで、歯科医業は構造不況業種とされてきた。売上高が減少し、企業収益が悪化するのは「構造不況」の特徴である。ここにきて、1歯科診療所の1日当たり患者数がほとんど変わらず、診療単価が少しずつ増加して、歯科医業は構造不況業種という汚名を返上できそうな状態になってきた。
 歯科の開業には、診療室、待合室などの建物スペースの確保、歯科ユニットなどの歯科医療機器などの購入、当座の運転資金の保有などで自宅開業でない場合に平均して4,000万円程度の開業資金が必要とされているが、年間保険収入が歯科医師として生活していけるギリギリの4,000万円まで回復してきた。
 なぜ、歯科医師が10万人を超えたのに、構造不況業種を脱しえたか。 受診動向が関係している。
 日本の1人当たりの総歯科医療費に対する公的な歯科医療支出のカバー率は77%で、歯科補綴を付加保険に移行したドイツでも60%である。任意加入の補足義歯保険が普及しているフランスの37%、2001年の義歯給付率が2割であったイギリスの55%に比べると、日本の公的な歯科医療費のカバー率は高い。医療扶助のみのアメリカは6%、補綴を保険給付に含まない(最近は一部含む)韓国は19%と低い(「歯科医療白書」より)。
 また、日本の1人当たりの年間受診回数は、3.3回で世界でもっとも多い。他の国では2回未満であり、最も少ないイギリスでは0.7回となっている。歯科医療の受診動向は医療保険の適応範囲と、実質的な自己負担額に連動している。
 この先、団塊ジュニアの全員が65歳以上となり、死亡者数がピークに達する2040年を見越した動きもあり、「保健医療2035提言書」が出されている。 健康な高齢者が増えて歯科診療所を受診する流れが変わらなければ、ここ20年は歯科にとっては優位に動くことが予測される。 問題は疾病構造の変化や良質な歯科医療を提供するマンパワー養成への対応である。 まさに新たな価値やビジョンを共有する歯科保健医療のあり方が問われている。
 今後、日本の総人口は減るが、65歳以上の人口は2040年に1割位増加するのである(表2)。今のまま、毎年400億円ずつ歯科医療費が増加すると仮定すれば、2030年には歯科医療費は3兆4,000億円、2040年には3兆8,000億円になっていく。 全然、将来不安などないのである。


 
 最近、口腔と全身の健康との関係が明かになってきている。口腔機能(咬合、咀嚼、唾液分泌、構音、嚥下)の低下は、認知症や全身的な疾患あるいは運動機能、生活機能とも密接に関連しており、歯数保持によって寿命が延伸する。糖尿病、誤嚥性肺炎、がん、循環器疾患及び肥満との関係もはっきりしている。良好な口腔の健康状態は、将来の要介護状態の発生を低くし、周術期術後肺炎のリスクを軽減させるなどのエビデンスも高齢者を歯科へ向かわせる要因になっている。
 歯科界の最重要課題である歯科医師過剰問題について、日歯は「歯科医師は増加の一途をたどっており、明かに過剰な状況である。 歯科医師の過剰が経営環境の悪化を来たし、過当競争を惹起し、結果として歯科医療の質の低下を招くことを危惧している。 」という見解で、社会的にもそのように理解され、いろいろな混乱がおきている。
 歯科医師数は「過剰」と言っていたが、最近は診療所数があまり増えない中、かなりいい数値(1歯科診療所1日患者25人、年間保険収入4千万円)に収束してきている。内部には問題(当面は新卒歯科医師の数が医療現場を離れる歯科医師より多い、全員は救えない)を残しながらも、この先20年位はわずかに歯科診療所の患者数は減少するものの、経営的には収入が対前年マイナスになることがないと予測されている。 医師より収入は少ないものの、女性歯科医師が増えてくる中、ワークライフバランス(仕事と生活の調和)がとれる職業として見直されてくることは間違いない。
 歯科医師過剰問題を解決していくためには、まず難問を増やし、新卒受験者の得点分布を踏まえた相対基準で行われている国家試験を「臨床上必要な歯科医学及び口腔衛生に関して、歯科医師として具有すべき知識及び技能について、これを行う」(歯科医師法第9条)正常な資格試験に戻すことが先決とずっと述べてきたが、合格率を含め歯科医師国家試験の見直し(実技試験の復活も含む)を早く行わないと、将来的に国民の期待に添えない事態が発生する可能性が大である。
 日本歯科医師会のリーダーには、歯科医師需給問題についての現状を的確に把握し、時局打開のための将来を見据えた理念と政策を示していくことが求められる。
 もう、歯科医師は過剰ではなく、「健康長寿の実現」に寄与できる魅力的な職の一つで将来不安などないのだから。
   


当院の特徴紹介
いつも、総山先生の教えを守るよう治療に当たっています。
院長は、この事業の設立時から中心的役割をにない一定の成果を出しました。
年に1回は必ず「かかりつけ歯科医」で健診することが重要と考えます。
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